医学と芸術展(レポート) [イベント]
去る12月18日、森美術館にて開催中の「医学と芸術展」を見てきました。
本展は「科学(医学)と芸術が出会う場所としての身体」をテーマに、医学・薬学の研究に対し世界最大の助成を行っているウエルカム財団(英国)の協力を得て、そのコレクションの中から約150点の貴重な医学資料や美術作品に約30 点の現代美術及び日本の古美術作品を加えて、医学と芸術、科学と美術における総合的な歴史背景、更にはこれからの未来を、多岐にわたるジャンルのの作品の中から見出し、人間の生と死を改めて問い直そうという試みです。
また、英国ロイヤルコレクション(エリザベス女王所蔵)のダ・ヴィンチ作解剖図3点も公開。
確かおよそ300ほどあるダ・ヴィンチの解剖図の中から3点ほど、というと大したことのないような印象も受けますが、ロイヤルコレクションの中からダ・ヴィンチ作品が日本にお目見えする事は相当な規模の展覧会でないとあり得ないので、実に貴重なことです。
実物は随分小さいですが、歴史的価値を考えてみると感慨深いものがあります。
しばらく見入っていました。
しかしながら、そのダ・ヴィンチさえ主役ではないかのように、膨大な作品・資料群に圧倒されて目を奪われます。
三部構成での展示(第1部:身体の発見、第2部:病と死との戦い、第3部:永遠の生と愛に向かって)になっているんですが、個人的には第2部の義手・義足・義眼などのコレクションが非常に興味深く、骨格そのものを金属で再現したシンプルで無骨なものからホンダ(本田技研)の最新テクノロジーを注いだ歩行アシスト装置まで、実に多彩かつ医学・及び科学技術の歴史を踏まえて閲覧出来る点が良かったです。
第3部はパトリシア・ピッチニーニの"ゲームボーイズ"やジル・バルビエの"老人ホーム"、そして一時期話題になったあの蛍光ウサギなど、進歩しすぎた科学に警鐘を鳴らすかのようなメッセージ性の強い作品が多く、人間の生(と等しく死)に対する執着やエゴを感じる内容で実に考えさせられました。
<Patricia Piccininni:Game Boys Advanced>
<Gilles Barbier:L'Hospice/The Norsing Home>
全体を通してみて余りにも作品展示数が膨大で、テーマに関連するものなら何でも寄せ集めたような印象は多少ありますが、そこから見出そうとするものが一貫しているので、どの作品も飽きることなく見れるのではないかと思います。
じっくりと時間をかけてもう一度見てみたくなる展示会でした。
医学と芸術展:生命(いのち)と愛の未来を探る
2009年11月28日(土)~2010年2月28日(日)
会場: 森美術館 〒106-6150 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー 53階
開館時間
10:00-22:00(火曜のみ17:00まで。但し、12/22(火)、12/29(火)は22:00まで)
※入館は閉館時間の30分前まで
※会期中無休
入館料(税込)
一般¥1,500、学生(高校・大学生)¥1,000、子供(4歳-中学生)¥500
医学と芸術展(森美術館)
http://www.mori.art.museum/contents/medicine/index.html
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